百朝集 安岡正篤 一 我 

 世の中を夢とみるみるはかなくも猶おどろかぬわが心かな 西行法師

僕はただひとつ願いを持っている。恋愛でもない,大科学者,大哲学者,大宗教家になることでもない。結局それは「吃驚したい」願いだと国木田独歩が「牛肉と馬鈴薯」の主人公に叫ばせているのは有名である。人間はだんだん驚かなくなる,すなわち純真熱烈に感じなくなる,麻痺してくる。善にも悪にもなんとなくなってきておる。

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